ライアン・ガンダーの最新個展は
「ピカソらしさ」の考察。
伝説的アイコンを通して
何を問いかけるのか?

ライアン・ガンダーの最新個展「Moonlighting」が東京・東神田のTARO NASUで開催中。本展は、「パブロ・ピカソ」のセルフプロデュースについて考察するというもの。伝説的アイコンを通して、いったい何を問いかけるのか。会期は6月16日まで。

ライアン・ガンダー Moonlighting 2018 © Ryan Gander Courtesy of TARO NASUPhoto by Kei Okano

 2000年代初頭から世界各地で個展を開くとともに、「ドクメンタ」など著名な国際展にも参加してきたライアン・ガンダー。17年には日本では初となる大規模個展「ライアン・ガンダー ―この翼は飛ぶためのものではない」(国立国際美術館)を開催。ガンダー発案による所蔵作品展も同時開催され、話題となった。

 ガンダーの作品は、美術作品や日常のなかで遭遇する物事から着想を得て制作されるもので、その表現手段はオブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像、印刷物など多岐にわたる。

ライアン・ガンダー Moonlighting 2018 © Ryan Gander Courtesy of TARO NASU
Photo by Kei Okano

 「Moonlighting」と題された今回の個展は、20世紀美術史の巨匠、パブロ・ピカソのセルフプロデュースについての考察するというもの。つねに写真家をそばに置き、自身の日常生活を記録させることに熱心だったともいわれるピカソ。本展は、ピカソの作品イメージを模倣した406枚のドローイング、漫画作品、壁紙で構成されている。

ライアン・ガンダー Moonlighting 2018 © Ryan Gander Courtesy of TARO NASU
Photo by Kei Okano

 InstagramをはじめとするSNSの世界的普及により、一瞬にして「普通の人間」が「特別な人間」に変身することが可能な現代社会において、ガンダーは「つくり込まれた虚構のイメージが実人生を超越する瞬間、虚構が真実を超克し一人歩きを始める瞬間、何が起きているのか」と見る者に問いかける。

 本展は「ピカソ」という伝説的アイコンを通して、アイデンティティとは何かを再考する機会となるだろう。

編集部

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