古美術鑑賞入門シリーズの第6弾。根津美術館で企画展「はじめての古美術鑑賞-写経と墨蹟-」が開催【2/2ページ】

 例えば平安貴族が功徳を求めてつくらせた壮麗な写経の遺品からは、その料紙装飾や書風を通じて当時の美意識を知ることができるだろう。

国宝 観普賢経(無量義経・観普賢経のうち)(部分)日本・平安時代 11世紀 根津美術館蔵

   また、奈良時代の現存する唯一の紺紙銀字経である、60巻本の「華厳経」を書写した二月堂焼経も展示。本作は火災にあいながらも巻首から巻末まで本紙が遺っている貴重なものである。

重要文化財 華厳経 巻第四十六(二月堂焼経)(部分)日本・奈良時代 8世紀 根津美術館蔵

 また、主に禅宗の僧である師から修行増へ、修行の進捗や達成の証として与えられてきた墨蹟も展覧される。書き手である高僧の精神が表れたような個性的な書風が見どころとなる墨蹟は、やがて茶室の床の間を飾る格の高い掛物として位置づけられるようになる。

重要文化財 一山一寧墨蹟 進道語 日本・鎌倉時代 正和5年(1316) 根津美術館蔵
重要文化財 無学祖元墨蹟 附衣偈断簡 日本・鎌倉時代 弘安3年(1280) 根津美術館蔵

 なお同館では、担当学芸員が展覧会の見どころを解説するスライドレクチャーも開催される。また同時開催展として、展示室2で京都と大津を結ぶ街道の土産物として親しまれた大津絵をまとめた展示「大津絵 つくられ方・たのしみ方」や、展示室5で収納箱を主役にした「特別仕様の美術品収納箱」、展示室6で旧暦6月を表す風待月の季節にあった茶道具約20点を集めた「風待月(かぜまちつき)の茶」が開催される。

編集部

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