例えば平安貴族が功徳を求めてつくらせた壮麗な写経の遺品からは、その料紙装飾や書風を通じて当時の美意識を知ることができるだろう。

また、奈良時代の現存する唯一の紺紙銀字経である、60巻本の「華厳経」を書写した二月堂焼経も展示。本作は火災にあいながらも巻首から巻末まで本紙が遺っている貴重なものである。

また、主に禅宗の僧である師から修行増へ、修行の進捗や達成の証として与えられてきた墨蹟も展覧される。書き手である高僧の精神が表れたような個性的な書風が見どころとなる墨蹟は、やがて茶室の床の間を飾る格の高い掛物として位置づけられるようになる。


なお同館では、担当学芸員が展覧会の見どころを解説するスライドレクチャーも開催される。また同時開催展として、展示室2で京都と大津を結ぶ街道の土産物として親しまれた大津絵をまとめた展示「大津絵 つくられ方・たのしみ方」や、展示室5で収納箱を主役にした「特別仕様の美術品収納箱」、展示室6で旧暦6月を表す風待月の季節にあった茶道具約20点を集めた「風待月(かぜまちつき)の茶」が開催される。
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