本展は3章構成となる。第1章は「絵金の芝居絵屏風」と題され、絵金の基準作として知られる、香南市赤岡町の4つの地区が所蔵する芝居絵屏風が展示される。高知県に現存する約200点の芝居絵屏風類、その多くが二曲一隻の形態である。一部を除いて神社や公民館、自治会などで管理されており、現在でも神社の夏祭りで使用される。また、御用絵師であった絵金が残した、芝居絵屏風以外の掛軸や絵巻、画帖なども展示される。

第2章「高知の夏祭り」では、屏風を絵馬台(台提灯)に飾る昔ながらの高知の夏祭りを、東京でも再現するような展示構成となる。氏子の高齢化や屏風の劣化などの理由によって絵馬台の数は年々減少しているが、高知市春野町芳原の愛宕神社の夏祭りで、2024年に絵馬台が数年ぶりに組まれるなど、文化の継承を積極的に行う動きも見られる。本展では、神社の絵馬台を展示室に再現しつつ、高知の夏祭りのもうひとつの風物である絵馬提灯も展示される。行燈絵とも呼ばれる絵馬提灯は毎年新調されていたため現存作は非常に少なく、とくに近年発見された「釜淵双級巴(かまがふちふたつどもえ)」は貴重な作品だ。

そして第3章「絵金と周辺の絵師たち」では、屏風や絵巻、軸物以外の絵金の作品と、絵金と深い関わりのあった絵師の作品が展示される。本章では、ほとんど現存していない紙製ののぼりのなかでも、絵金の基準作となる「近江源氏先陣館 盛綱陣屋」も展覧される。

なお本展の開催を記念して、アクトミュージアム学芸員の横田恵を迎えた講演会も行われる。
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