全体で800点を超えるラフ夫妻のコレクションは、第二次世界大戦後から現在に至る時代を背景に、歴史的、哲学的、社会的な文脈を反映しつつ、アーティスト個人の視点や物語性も感じさせる内容となっている。

延床面積5000平米の施設には、アンゼルム・キーファー、ヨーゼフ・ボイス、イリヤ&エミリア・カバコフ、ウィリアム・ケントリッジ、ゾラン・ミュージック、ノイエ・スロヴェニッシェ・クンスト(NSK)など、国際的およびスロベニア国内の著名作家の作品に加え、アン・イムホフ、ヒト・シュタイエル、シアスター・ゲイツなど、現代アートの最前線を担うアーティストの作品も紹介される。
ラフ夫妻は次のように語っている。「私たちは30年以上かけて築いてきたコレクションを、できるだけ多くの人々と共有したいという思いでこのプロジェクトを始めました。地元スロベニアの人々はもちろん、世界中の来館者にとって、思索とインスピレーションを得られる場になることを願っています。チッパーフィールド氏の建築は、私たちが大切にしている静けさや明快さ、誠実さを体現しており、このプロジェクトにとって理想的なパートナーでした」。
いっぽう、チッパーフィールドもこう述べている。「自然と歴史に囲まれたブレッドという特別な場所で美術館を設計できたことは大きな喜びです。屋根の形状や建物の構成は周囲の地形との調和を意識しており、展示室やテラス、中庭といった多様な空間が、作品と風景の両方を引き立てるように考えられています。この場所が地域の文化資源として、広く親しまれる存在になることを願っています」。

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