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「ある⽇」(座間市役所/ビナウォークほか)開幕レポート。誰かと向き合うことを福祉として真摯に考える【3/6ページ】

 キュンチョメは綾瀬市保健福祉プラザの調理室で、「みんなで貝を食べて、時間のストレッチをしてみよう」というワークショップを実施した。

 キュンチョメはホンマエリとナブチによるアーティストユニットで、2011年の東日本大震災を機にアーティストとしての活動をスタートした。制作行為を「新しい祈り」ととらえるキュンチョメは、様々な社会問題や自然災害をテーマとする作品を発表。そこに関わる人々と正面から向き合うことで、複雑に絡まる感情や交錯する意見を反映させながら作品へと昇華させてきた。近年ではハワイやフィリピンに滞在し、現地での経験を創作に活かしている。2023年には個展「魂の色は青」を黒部市美術館で開催した。

展示風景より、キュンチョメ《ヘソに合う石》

 ワークショップでキュンチョメは、大量の砂抜きした貝を持ち込み、網焼き、酒蒸し、お吸い物などにして参加者と食した。その後、貝殻に参加者それぞれが「自分のなかの水平線」を描き、その貝を目の上に乗せながら、呼吸とともに時間や各人の内面へと思いを馳せた。

展示風景より、ワークショップで制作された貝

 このワークショップを通じてキュンチョメが提示したのは、太古の海から子孫を残し、そして古来より人間が食べてきた貝という「生」を通じて、時間を体感する「時間のストレッチ」だ。7階展望スペースの窓際に並べられた参加者それぞれの「水平線」が描かれた貝が、それぞれの個性を太陽光を受けて主張していた。

 また、キュンチョメは、自分のヘソに太陽の熱を帯びた石を置く《ヘソに合う石》のドローイングや、海水をスポイトで採り、指の上に載せて歩ける《一粒の海と歩く》などを展望スペースで展示。また、7階のエレベーターホールでは、狭い世界しか知らない金魚を淡水の袋にいれて、広大な海を泳ぐ映像作品《金魚と海を渡る》も上映。ソファに体を横たえ、リラックスしながら映像を体感できる。

展示風景より、キュンチョメ《一粒の海と歩く》
展示風景より、キュンチョメ《金魚と海を渡る》

 加えてキュンチョメは、市役所1階ロビーの吹き抜けに「いま、すべての生き物が呼吸している」と記された大きな横断幕を設置。市役所の内部に広大なスケールの視野を呼び込むメッセージを掲げた。

展示風景より、キュンチョメ《いま、すべての生き物が呼吸している》

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