第4室は、コンセプチュアル・アートに影響を受けたステージド・フォトグラフィ(演劇的に構築された写真)と実験的なビデオアートを取り上げる「虚構と現実」(企画:邱于瑄)。様々な実験的な手法を用いたヴィデオ(映像)の作品群が並ぶこの展示では、「KYOTOGRAPHIE 2021」で注目を集めたオランダの写真家アーウィン・オラフの作品を、東京都写真美術館で初めて展示する。

そして第5室は、デジタル時代において写真の物質性とオリジナルプリントの価値を問い直す「ヴィンテージと出会うとき」(企画:石田哲朗)。「写真を焼く」という感覚や「モノとしての写真」の体験が失われつつあるデジタルの時代に、「vintage」(ヴィンテージ)という言葉を手がかりに「本物の」魅力を探る。同館コレクションの中でも、モホイ=ナジの貴重なフォトグラムや、万延元年(1860)に撮影された《野々村忠実像》、明治初期に活躍した河野浅八の作品などがこの展示で公開される。

なお本展開催を記念して、スペシャルトーク、対談企画、ギャラリートーク、手話を交えたインクルーシブプログラムなどの関連イベントも行われる。