本展では、安藤の没後80年を記念して、これまで《忠犬ハチ公像》の影に隠れ、語られる機会の少なかった安藤の生涯について紐解く展示となる。戦火をのがれた現存作品約30点やその関連する作家の作品を、全5章を通じてたどる構成となる。
第1章「梁山泊の中で —安藤照、彫刻家になる」では、安藤の初期作品にくわえ、彼のライバルであった同世代の彫刻家の作品が展示される。鹿児島から上京し、早稲田大学商科へ進学したが、芸術家を志し同校を退学した安藤。その後東京美術学校彫刻科塑造部予備科に入学し、のちの人生に大きな影響を与えた人々と出会う。

第2章「安藤照と動物彫刻」では、動物好きの安藤と、後年に結成した彫刻団体「塊人社」のメンバーの動物彫刻が展示される。当時流行したアール・デコなどの造形とは一線を画す、無骨で質量を感じさせる彫刻作品を見ることができる。

第3賞「鹿児島のために、渋谷のために」では、安藤の故郷である鹿児島ゆかりの作品や、渋谷を代表するモニュメント《忠犬ハチ公像》が展示される。渋谷という都市を拠点にしながらも、生まれ故郷で自身を支えてくれた人々のために制作を続けた安藤の姿勢も感じ取ることができるだろう。
