第4章「『塊人社』結成 —アラウンド・安藤照」は、1929年に結成された「塊人社」に焦点が当てられている。安藤は第8回帝国美術院展覧会の審査員に任命され一目置かれていたが、翌年の第9回同展の審査員選出をめぐって、師の朝倉文夫が自身を含む門下生全員の同展不出品を申し出たことで、安藤も審査員を辞するという大騒動に発展。その後「朝倉塾」を脱退し、周辺の仲間とともに立ち上げたのが「塊人社」である。「概して写実を基礎として、穏健なる手法を用ゐる、温厚なる作家の一団である」と評された。

第5章「迫りくる戦禍 —安藤照の死」では、安藤の晩年となる1931年の満州事変から1941年の太平洋戦争開戦、そして 1945年の安藤の死までを追う内容となる。戦争のなかでも変わらぬ姿勢で作品に向き合い続けた安藤の作家人生をたどる最終章となる。

なお本展の開催を記念して、愛知県美術館館長の平瀬礼太を迎えた講演会や、鋳造を体験できる夏休み子供美術教室なども実施される。