本展は大きく2つの観点から構成される。1つ目の「大正イマジュリィの作家たち」という切り口では、大正時代の出版文化に足跡を残した作家12名が取り上げられる。彼らは出版物のデザインを通じて、大衆の一人ひとりが主役になる新時代の明るさを印象づけるとともに、個々人の郷愁や憧憬、日々の繊細な感情、衝動、欲望を視覚化した。
紹介される作家は、アール・ヌーヴォー様式で浪漫を広げた巨匠とされる、日本近代美術を代表する洋画家・藤島武二や、日本初のグラフィックデザイナー・杉浦非水、装幀本の先駆者とされる橋口五葉。さらに、儚げな「夢二式」美人で一世を風靡した竹久夢二、描くファッションイラストが「華宵好み」と呼ばれ少女読者から支持された挿絵画家・高畠華宵。ほかにも画家である岸田劉生や古賀春江、絵葉書や絵封筒のデザイナー・小林かいちの作品も展示される。

