本書は「そもそも、現代アートって何?」「現代アートの現代は何を意味する?」「コンテンポラリー·アートと現代美術の違いは?」といった、現代美術をめぐる根本的なテーマを12の章に分け、山本が具体的な作品やアーティストを挙げながら、簡潔にわかりやすく解説。テキストも読みやすい長さとなっており、短い時間を利用して少しずつ読み進めることができる。また、本書のために書き下ろした「マーケット」と「ケア」の章は近年とくに注目されているテーマとして、市場や社会の現状に踏み込んだ、発展的な内容となっている。

さらに、現代美術の現場で活躍する会田誠、飯山由貴、尾崎翠(明日少女隊)の3名のアーティストと、研究者である小川公代(文学)、松村圭一郎(人類学)へのインタビューも収録。12のテーマに関連する内容について、実戦を通したアクチュアルな言葉を通して、リアリティをもって理解を深めることが可能だ。
また、巻末には12のテーマごとに3冊ずつ、合計36冊を紹介したブックガイドを掲載。初級・中級・上級の3段階にわけて山本が厳選したうで、丁寧な解説もついている。興味をもったテーマをさらに深掘りしたい、また、現代美術をもっと学びたい、知識を広げたい読者にとっては保存版ともいえる内容だ。

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