本作は、作品価格6000米ドル(税・送料別)に加え、別途700米ドル以上の寄付をワタリウム美術館に行うことで購入する権利が得られるという形式をとっている。これは、文化的遺産支援の意志を明確に示すものとして、「Oriza」プロジェクトならではの制度である。

和多利恵津子は「たんに資金を集めるということだけではなく、アーティストの創造性とクオリティを世界に発信していくことも、『Oriza』の重要な役割です」と述べる。また、今後は支援先の文化的遺産を日本全国に広げ、アーティストとのコラボレーションや、アトリエツアー、貸切イベントなどの体験型プログラムも企画されている。さらに、デジタル通貨による寄付や国際的なコミュニティ形成など、先進技術を取り入れた展開も視野に入れている。
日本では、国の指定を受けない多くの文化資源が、いままさに存続の危機に直面している。そのなかで、民間による継続的かつ自発的な文化支援の仕組みとして、「Oriza」が果たす役割は、今後ますます大きくなるだろう。