1970年、パリ市立近代美術館のARCにて開催されたグループ展「Supports/Surfaces」において、初めてこの運動名が公式に用いられた。以後、作家たちは理論誌『Peinture – Cahiers théoriques』を創刊し、クレメント・グリーンバーグのモダニズム理論や、フィリップ・ソレルスのテキストに触発された論考などを展開し、知的側面でも独自の存在感を示した。

91年には、サン=テティエンヌ近代美術館にて回顧展「シュポール/シュルファス展」が開催され、93年から94年にかけては埼玉県立近代美術館、大原美術館、芦屋市立美術館、北九州市美術館、岐阜県美術館を巡回。日本においてこの運動が本格的に紹介されたのはこの時期が初であり、素材や理論へのアプローチが日本の鑑賞者にも鮮烈な印象を与えた。さらに2000年には、パリ国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)のコレクションを中心に、ジュー・ド・ポーム美術館が企画した国際巡回展の一環として、東京都現代美術館でもSupports/Surfacesに焦点を当てた展覧会が行われている。
ギャラリー・ディレクターのロイック・ガリエは、今回の東京進出を「非常に前向きなタイミング」と評し、日本市場の成長性と国際性に強い期待を寄せている。とくに昨年は、日本が世界でも数少ないアート市場の成長国であったことが確認されており、銀座という地の利を活かして、国内外のコレクターや観客との新たな関係構築が図られる見通しだ。Supports/Surfacesという重要な運動を起点に始動したCeysson & Bénétièreの東京拠点は、今後のアジアにおける現代美術の展開において、注目すべきハブのひとつとなるだろう。

