ダンスカンパニー「DAZZLE」による新作常設イマーシブエクスペリエンス「Anemoia Tokyo」。アートとダンスの化学反応による新感覚の体験を【2/2ページ】

 本作では海外の方にも観てもらえるよう「ノンバーバル」での公演に挑戦しており、パフォーマンスを見ていない時間や空間にも面白さを感じてもらうにはどうしたらよいかを考えた結果、舞台美術にアート作品を用いるというアイディアが出てきたという。物語を説明するための機能的な役割のみを求めるのではなく、観る人の時間の楽しみ方や視点を増やすことを意図され実現した。

 作品が持つ本来の魅力はそのままに、公演の美術としても機能しながら、同時にアートとしての解釈の幅をも広げ、意味を多層化させることがコラボレーションの背景にある。

 またアート作品とパフォーマンスという同時に起こる2つの鑑賞体験を楽しむために、空間を説明するハンドアウトがふたつ用意される。ひとつはアート作品を鑑賞するための、作品のタイトルや作家のコンセプトなどが記載されたもの。もう一つは、イマーシブシアターの公演を観る際のストーリーやキャラクターの説明などが記載されたガイド。この2枚を見比べながら、同じ空間を異なる視点で解釈することができるのもポイントとなる。

 また6月24日から一部展示替えが行われ、古澤龍などの作家も参加予定。アートとダンスが相互に影響を与えあうことで、パフォーマンスが日々変化し、「何度見ても新しい」というイマーシブシアターの元来ある価値がさらに別次元で展開され、日常から一瞬でも離れられる特別な体験や、見たことのない景色を目の当たりにする刺激を空間内で存分に楽しむことができるだろう。なおDAZZLE×Whateverによるインタビューも公開されている。あわせてチェックしてみてほしい。

編集部

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