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「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館)開幕レポート。円環のなかで見つめる「わたし」【4/4ページ】

 原田のルーツと関係する作品として見逃せないのが《残照》(2024)だ。描かれているのは、原田の故郷・山口県岩国市の山々。その構図は、東山魁夷の《残照》(1947)とカスパー・ダーヴィッド・フリードリヒの《リーゼンゲビルゲ》(1830-35)という、よく似た構図を持つ2作品が参照された。

 魁夷は家族の喪失や日展の落選という失意のなかで同作を描いており、奥に向かって山々が連なるその構図には、魁夷の感情が反映されているという。いっぽう原田の《残照》の中景に見える米山の先には自身が幼少期を過ごした町がある。そこは原田が「夢のような景色」を描くために創作活動をスタートさせた場所であり、会場に置かれた14歳の頃に描いた1枚の風景画が、これと接続する。

展示風景より、《残照》
展示風景より、上から《黄色い風景》(2004)、《錦帯橋》(2003-2004)

 これらの作品を見た後、順路はふたたび《シャドーイング》へと戻る。そこで目にする次のフレーズは、原田裕規というアーティストの多様さこそ、揺るぎない原田らしさであることを確信させるだろう。

どこへ行っても、何をやっても、私は私から逃れることはできない
私自身はどこにも行かない
私自身はいつもそこにいて、まるで影のように、私が戻ってくるのを待っている(《シャドーイング》より抜粋)

編集部

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