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「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」(森美術館)開幕レポート。人間と「マシン」のあいだで美術の在処を探る【5/5ページ】

「テクノロジーと人間―500年間の関係」

 最後となるセクション「テクノロジーと人間―500年間の関係」では、AI研究の第一人者、ケイト・クロフォードと、ICTの研究者でアーティストのヴダラン・ヨレルの協業による《帝国の計算:テクノロジーと権力の系譜 1500年以降》を見ることができる。本作は、16世紀以降のテクノロジーと権力の関係性を幅24メートルの壁面にまとめたものだ。グーテンベルグの活版印刷がいかにして権力の基盤を強化したのか、という歴史学的な問いが、現代におけるAIにおいても同様のかたちで可能なことがわかる。現代におけるAIを使ったビジネスのメインプレイヤーは誰なのかを問うとき、それは権力の在処を問うことにもなる。技術と人間はいかに対峙してきたのかを記した本作は、同時にこれからどのように対峙するのかを考えるうえでの道標となるだろう。

展示風景より、ケイト・クロフォード&ヴダラン・ヨレル《帝国の計算:テクノロジーと権力の系譜 1500年以降》

 本展で紹介されている「マシン」が生み出した作品のそれぞれに、来場者は何かしらの美術としての要素を見出すことになるはずだ。しかし、それが人間が「マシン」によって生み出した美術的要素なのか、それとも「マシン」が人間のために生み出した美術的要素なのか、あるいはその両方なのか、本展を見ていると混然としてわからなくなる感覚を覚える。こうした複雑なレイヤーと対峙する体験は、これからの美術を考えるうえで重要なものであることを本展は教えてくれる。

編集部

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