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不確実な時代に、私たちは何を「to carry」するのか。「第16回シャルジャ・ビエンナーレ」で見せる精神や記憶の継承【5/5ページ】

 中東地域は、東洋と西洋をつなぐ重要な地理的位置にあり、歴史的には西洋の植民地主義者による数世紀にわたる支配を受けていた。近年、グローバル・サウスが国際的なアートシーンでますます注目を集めるなか、非西洋圏のアーティストや、先住民、マイノリティのアーティストなど主流文化圏以外の声が再びナラティブを取り戻そうとしている。シャルジャの歴史的な会場や砂漠のなかでの作品展示は、私たちに現在の世界における文化的、社会的な課題を見つめ直させる。

ブハイス地質公園で展示されているミーガン・コープのインスタレーション《Kinyingarra Guwinyanba》(2024)の展示風景より

 冒頭の問いに戻ろう。「私たちは、旅行、避難、または移動するとき、何を持ち歩くのか?」人々は様々な理由から移動する。今日、ウクライナとガザで起きている2つの戦争により、逃亡を余儀なくされている難民がいる。また、政治的迫害や国内の過酷な支配により、故郷を離れたディアスポラもいる。あるいは、歴史を通じて植民者の侵略により、居場所を追われた先住民もいる。「to carry」というオープンな命題のもと、このビエンナーレは、様々な地域のアーティストたちの実践を通じ、この問いに対して個々の解釈を示してくれた。

 これからも様々な不安定が続くなかで、このビエンナーレが提示した「to carry」というテーマは、物理的な持ち運びだけでなく、私たちの内面や記憶、文化をどのように担い続けるかという問いを浮き彫りにしている。変化の激しい時代において、私たちは何を持ち歩き、どのように土地や文化とつながり続けるべきかを改めて考える機会になっている。

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