第5章「絵画の本質へ向かって」では、すでに評価が定まった晩年のミロが、新しい表現をつねに探究していたことがうかがえるユニークな試みが紹介されている。

例えば、ただの財産となってしまう絵画を燃やすことで脱神聖化を図る大胆な試みや、三連作となる《花火 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ》では、身体の動きを反映させた大きな筆遣いを用いるなど、時代の最先端となる表現を取り込みながら自身の作品を探究していった。


その晩年、ミロは自身の制作活動を振り返り次のような言葉を残したという。「3000年後にこれらの作品を見た人たちが、(この画家が)人間の解放を目指したことを理解してくれたら」。
20世紀を横断し、様々な影響を受けながらもつねに新しい表現を追い続けたミロ。その姿を、同展を通じて垣間見ることができるだろう。
