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「硲伊之助展」(アーティゾン美術館)開幕レポート。ひとりの人生に重ね見る西洋美術の受容史【3/5ページ】

 第2章「コレクター、硲 伊之助──西洋美術の紹介者として」では、硲のコレクターとしての側面を取り上げる。

 パリ留学直後から、硲は兄の支援もあって、絵の勉強のために絵画を積極的に収集するようになる。その多くは水彩画や版画ではあったが、ウジェーヌ・ドラクロワやアンリ・ルソーといった巨匠のものも含まれていた。硲の自室を描いた《室内》(1928)の壁には、ジャン=バティスト・カミーユ・コローの作品も見ることができる。

展示風景より、左からアンリ・ルソー《イヴリー河岸》(1907頃)石橋財団アーティゾン美術館、硲伊之助《室内》(1928)硲伊之助美術館

 また、同館所蔵の《青い胴着の女》(1935)も、マティスとの親交によって硲が手に入れたものだ。ほかにも、ポール・セザンヌの《サント・ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》(1904-06頃)といった作品が、石橋財団コレクションの礎を築いた石橋正二郎に売却される際にも関わっているなど、同館との関係は深い。

展示風景より、アンリ・ルソー《青い胴着の女》(1935)石橋財団アーティゾン美術館

 硲はフィンセント・ファン・ゴッホの書簡『ゴッホの手紙』の翻訳を手がけるなど、日本への西洋絵画の紹介者としての自負があったといえ、そのコレクションもまた、そのような志が根底にはあったという。

展示風景より、右がアンリ・マティス《縞ジャケット》(1914)石橋財団アーティゾン美術館

編集部

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