そして、もっとも広いスペースで展開される3章「天目と黒いやきもの」では、中国古代の黒陶から宋・元時代の天目茶碗を代表とする黒釉陶磁、そして日本にも伝わる黒い釉薬を用いずに製作された清時代の工芸品など、「黒いやきもの」のルーツを紹介。時代のなかで発達する技術と、そこから新たに生まれる表現の在り方を俯瞰することができるだろう。


最後の4章「曜変天目の小宇宙」では、同館が誇るコレクションのひとつ《曜変天目》が公開。独自の展示ケースでは、底部分まで見える仕様となっているため、360度すべての角度からの鑑賞することが可能だ。
《曜変天目》がどのように生まれ、伝来してきたかについては未だ謎が多い。しかし、周縁の「黒いやきもの」のルーツをたどり、その製法や伝来の仕方を知ることで、類似点を探ることはできるはずだ。そこに本展の意図がある。

なお、会期中には、より深い鑑賞を楽しむためのギャラリートークやスライドトークが実施されるほか、毎週木曜日はおしゃべりをしながら鑑賞可能な「トークフリーデー」も設けられている。ミュージアムグッズには新商品が登場したほか「曜変ファッション割」も行われているため、展覧会とあわせてチェックしてほしい。
