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「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」(ワタリウム美術館)開幕レポート【2/3ページ】

 会場では、60年代から今日までに制作された約20点の絵画、9点の立体作品、80点のデッサン、3点のインスタレーションが同館2階から4階にわたって展示されている。いくつかピックアップして紹介したい。

 例えば2階には、鴨治がワルシャワへ留学して間もない60年代頃の作品が並ぶ。とくに「プルシュクフの絵画」シリーズは、当時妻と3人の子供と暮らしていた鴨治が、生計を立てるために通訳として働きながら制作していたもの。作品横にあるキャプションには、当時を振り返りながら綴られた鴨治の思いが掲載されており、そこには異国の地で奮闘する若きアーティストならではの苦悩も見受けられる。

展示風景より、手前は《虹》(1965)、奥は「プルシュクフの絵画」シリーズ。本展では作品はもちろんのこと、あわせてキャプションに掲載された鴨治によるテキストにも注目してほしい。様々な思いや葛藤を巡らせながら、それらが濾過されたような状態で作品に落とし込まれている

 また、同フロアには、フォクサル・ギャラリーで発表されてきた《通り風》(1975)といった和紙に穴を開けたシンプルなインスタレーションから、《夜の雨》(1992)、《水の底》(1992)といった絵画作品、そして複雑化していく現代美術から脱却し、根源的な表現の在り方に立ち返ろうとするデッサンシリーズも、ワタリウム美術館ならではの吹き抜け空間を生かして展示されている。

展示風景より、《通り風》(1975)
展示風景より、左から「デッサン」シリーズ(2011-17)、《夜の雨》(1992)、《水の底》(1992)

編集部

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