大阪で楽しむチームラボ。植物園が丸ごとアート空間に【3/3ページ】

滅びと永劫をはらむアート

 自然豊かな長居植物園では、有機的な自然がデジタルテクノロジーによって「自然が自然のままアートになる」。闇夜に輝く多様な光と音の世界は、それだけでも美しく夢幻的だ。しかしそれは、半世紀かけて育ち、整えられた森や池とともに、そこに生きる虫や水生生物、それらを餌とする鳥たちが営む生物のサイクルがあってこそ。公園の草木がなくなり、虫が死に絶え、飛ぶ鳥がいなくなれば、これらの美しく楽しい作品たちは消えるのだ。

 昼から夜へ、公園内の植物や土の香りがより濃密になった時間から動き出す彼らの作品は、つねにこの滅びの可能性を内包しつつ、身体感覚について、環境について五感に問いかけてくる。それは、未来への技術や環境を提示する万博とも呼応するだろう。

チームラボ《風のなかの散逸する鳥の彫刻群》は、鳥の飛翔をきっかけに「水の動き」をイメージした映像が動く
チームラボ《具象と抽象―二次林の入り口》より。森の中のはずが平面に見えてくる
チームラボ《大池に浮遊する呼応するランプ―Fire》より。水面を渡る風でランプの色が変化する

 なお、園内に併設される花と緑と自然の情報センターでは、大阪・関西万博応援イベント「PLANT EXPO 2025 in Nagai Botanical Garden」も開催中。コーヒーの出がらしやペットボトル、海藻やトウモロコシなど、意外な素材から作られたドレスやスポーツウェアなどが紹介されている。そのデザイン、クオリティはちょっとしたファッションショーだ。なかにはまもなく発売予定のものも。併せて楽しみたい。

「PLANT EXPO 2025 in Nagai Botanical Garden」より ピエール・カルダンのデザインによるウィンター・ウェアの素材は牡蠣殻とリサイクル・ペットボトル
撮影=筆者

編集部

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