本展では個人蔵の松園作品にも注目だ。《つれづれ》(1940頃)、《姉妹》(1903頃)、《姉妹》(1897〜1906)、《美人観書図》(1940頃)の4点が並ぶ。
松園が22〜31歳の頃に描いたとみられる《姉妹》は、じつに繊細に描かれた姉妹の髪飾りや牡丹の花などから、松園が若い頃から高い力量を持っていたことがわかる。また28歳の頃に描いた同名の《姉妹》は、シャボン玉を楽しむ姉妹を描いたもの。夢中になってシャボン玉で遊ぶ妹と、それを見守る姉の優しい眼差しが、画面全体にあたたかさを与えている。

京都の風俗を重んじて、芯のある女性たちを描き続けた松園。生涯をかけて追い求めた美人画の極致を会場で堪能してほしい。
なお本展では松園のほかに、今年生誕130 年を迎える小倉遊亀(1895〜2000)、生誕120年の片岡球子(1905〜2008)のほか、菊池契月や伊東深水、そして松園と並んで「東の松園、西の清方」と評された鏑木清方など、様々な画家による粒選りの美人画も展覧。松園と比較しながら見るのもまた楽しい。


