EARTH MART(小山薫堂)

放送作家/京都芸術大学副学長の小山薫堂がプロデュースする「EARTH MART」の設計は建築家・隈研吾が手がけた、全国から茅を集め、職人たちの手によって茅葺屋根を構築した。茅は、かつて里山の暮らしにあった循環的な営みの象徴であり、それらが集積した屋根は市場のような繁栄と賑わいが表現されている。なお、茅は万博会期終了後に新しいかたちで生まれ変わらせるという。
本パビリオンでは、地球環境や飢餓問題と向き合いながら日本人が育んできた食文化の可能性とテクノロジーによる食の進化を共有。「新しい食べ方」を来場者とともに考えるという。小山はパビリオンのコンセプトについて次のように述べた。「ひとりの人間、ひとつの命をつむぐためにどれくらいの命を頂いているのかを体感し、未来に向けた食べ方を考えるものとなっている」。



館内は、まるでスーパーマーケットのようなディスプレイや什器が用意され、各ブースでは当たり前だと思われがちな「食べ方」を改めてとらえ直し、新たな「食べ方」と向き合うための様々な体験をすることができる。例えば、長崎・雲仙市で、多様な野菜を育て、野菜が枯れるまで見守って種を採り、またその種を蒔くという昔からの農業を営んでいる農家の野菜や、1年間に日本人が食べる卵の総量を表した展示、世界各国の食の内訳を記したレシート、日本の伝統食品をその歴史と紹介するコーナーなどだ。食のについての様々な数値や量を可視化するとともに、身の回りにある食を改めて見直すことができる。
最後の部屋では皿が置かれた円卓に、、高精細のプロジェクションによる、食と生活文化についての映像が投影され、食といのちについてのメッセージが可視化されている。

