気になる販売スケジュールは?
現代アート界のアートフェアと異なり、ファッション界では各ブランドが次のシーズンに向けて新作を発表する期間を「ファッションウィーク」と呼び、年2回、ニューヨークを皮切りにロンドン、ミラノ、パリと続く約1カ月の間に各都市でショーが開催される。これら4大コレクションに加え、ベルリンやコペンハーゲン、アジアでは東京、ソウル、上海などでもファッションウィークが開催されている。
ミラノ・ファッションウィークは、1958年創立のCamera Nazionale della Moda Italiana(イタリア国立ファッション協会)によって開催され、パリに続く規模で世界的に注目されている。公式ウェブサイトでは、すべてのショースケジュール、各ブランドで発表された全ルックの画像、関連トークプログラムの一覧が確認できる。また、会期中にドゥオーモ広場前の会場に設置された情報拠点FASHION HUBでは、若手デザイナーによる「The Designers for the Planet 」展が無料で開催され、業界が注意する持続可能性の動向と、そのための技術革新やデザイン上での工夫などを垣間見ることができる。特別招聘国として韓国のデザイナーの展示もあった。

撮影=筆者
2月27日に行われたショーの翌日、ミラノ市内のアンテプリマのショールームを訪れ、加藤泉とのコラボアイテムを実際に手に取ることができた。ショーで発表されたプロトタイプ以外にも多くの試作品が制作されたが、最終的に生産されるアイテムは受注状況を踏まえて厳選されるとのこと。本社のある香港と中国が主な生産拠点だが、靴やアクセサリーはイタリア製。また、ANTEPRIMAもサステナビリティに意識的なデザインを取り入れている。FW25では、製品の長寿命化やシーズンレスのアイテムを揃え、天然素材の責任ある調達や廃棄を抑える技術を採用しているそうだ。

撮影=筆者
市内の店舗では前シーズンの商品が並び、現在は移転の準備中。日本では9月に加藤コラボのワイヤーバッグの販売がスタートする予定。ショーには欧米・アジアなどから加藤のコレクターやギャラリストも駆けつけ、収集するアートが着用可能となった予期せぬ展開に興味津々だった。特に、加藤がよく描く動物や魚、植物のモチーフがチャームで添えられた小ぶりのワイヤーバッグは、渋い色味と可愛さが合わさり人気商品となりそうだ。ショールームでは、本番翌朝から次の現代アーティストとのコラボに関する打ち合わせを行う荻野の姿もあった。2026年春夏コレクション公式発表を楽しみに待ちたい。