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「没後80年 小原古邨 ―鳥たちの楽園」(太田記念美術館)レポート。江戸と近代をつなぐ花鳥画の淡彩木版の美【2/4ページ】

古邨といえば、まず「鳥」

 花鳥画のなかでもとくに古邨が得意としたのが「鳥」だ。本展では古邨の鳥を画題とした作品を、「花樹と鳥」「月下の鳥」「雨に濡れる鳥」「鳥の家族・つがい」「雪景色のなかの鳥」「水辺の鳥」「鳥百姿」と、描かれた情景をテーマに追っていく。

 花とともに華やかで愛らしい様子を見せたり、月の下に寂寥感とともに佇んだり、あるいは雨や雪のなかの孤高な姿を見せ、ときに水辺に優雅に憩う。様々な種類の鳥たちの、多彩なシーンが描かれている。いずれも、しっかりとした輪郭線に囲まれた色面が特徴といえるそれまでの浮世絵版画とは異なり、淡く、抑え目の色彩のグラデーションに彩られた、水彩画のようにも見えてくる。とくにモノトーンの濃淡が醸し出す雰囲気はすばらしい。

前期展示風景より、「花樹と鳥」
「花樹と鳥」前期展示風景より、《桜に烏》 個人蔵
「花樹と鳥」前期展示風景より、《柿に目白》 個人蔵

 それぞれの鳥たちの表情にも留意したい。雀はそのにぎやかな鳴き声が聴こえてきそうで、鷹は力強く勇猛だ。ミミズクは悪人面ともいえそうな不愛想が楽しい。猛禽に緊張する小禽たちの姿には物語を紡ぎたくなるし、ひよこの無邪気さには、獲物を取りあう残酷さも描写される。伝統的な花鳥画の構図を踏襲しつつ、より生き生きと引き立てているといえる。

「月下の鳥」前期展示風景より、《月に木菟》の2点 ともに個人蔵
「鳥の家族・つがい」前期展示風景より、左から《鶏とひよこ》《蝶を取りあうひよこ》 ともに個人蔵
「雨に濡れる鳥」前期展示風景より、左から《雨中の鷹》、《雨中の雉》 ともに個人蔵

編集部

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