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「没後80年 小原古邨 ―鳥たちの楽園」(太田記念美術館)レポート。江戸と近代をつなぐ花鳥画の淡彩木版の美【4/4ページ】

古邨が連なる花鳥画の歴史

 古来、日本画において愛されてきた花鳥画の伝統は浮世絵版画でも踏襲され、その初期より描かれてきた。最後に同館のコレクションより、古邨も参照したであろう江戸から明治に活躍した絵師たちの浮世絵版画を追い、浮世絵における花鳥画の長い歴史の流れに、改めて古邨を位置づける。

「江戸・明治の花鳥画」前期展示風景より

 錦絵の創始者のひとり鈴木春信、妖怪画で知られる鳥山石燕、最後の浮世絵師ともいわれる河鍋暁斎、光線画で名をなした小林清親、近年同じく注目される渡辺省亭や上村松園の師でもあった幸野楳嶺(こうの・ばいれい)まで、いかに花鳥画というテーマが日本人に親しまれ、その遺伝子がいまも私たちに生きているのかが実感できる。

「江戸・明治の花鳥画」前期展示風景より、河鍋暁斎 『暁斎楽画』乾巻より《土竜に驚く雀》 

 古邨は、昭和元年(1903)頃より画号を祥邨と改め、渡邊庄三郎が進めた「新版画」として作品を発表するようになり、海外で開催された新版画の展覧会で人気を博したという。古邨が創出した「鳥たちの楽園」は、浮世絵版画の終焉から新版画への移り変わりも体現しているのだ。その詩情、美しさとともに、浮世絵版画という技法の歴史にも想いを馳せてみたい。

編集部

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