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「没後80年 小原古邨 ―鳥たちの楽園」(太田記念美術館)レポート。江戸と近代をつなぐ花鳥画の淡彩木版の美【3/4ページ】

鳥だけじゃない、古邨の魅力

 鳥を愛した古邨だが、もちろんほかの動物たちも見事な描写で表している。虎や鹿といった大型の動物から、猿や狐のユーモラスな姿、鮭などの魚類や蛙などの水生生物、蝶や虫まで。「水の生き物」「動物」の章では、こうした生物にもそそがれた古邨のまなざしに触れる。

「動物」前期展示より、左から《月に虎》《松に鹿》 ともに個人蔵
「動物」前期展示より、《踊る狐(試摺)》 個人蔵 ※後期は本摺が展示される

 鳥も含め、古邨の写実の力とともにすばらしいのは、彫師・摺師としての技だ。羽毛や獣の毛並みの重なりや柔らかさ、月夜の風情や水のたゆたい、蝶の羽や花弁のひとひらなどの表現。その繊細な彫りは、ぼかし摺りや木目を生かした摺り、あるいはきめ出しや空摺りといった高度な技術があればこそだ。まさに、浮世絵版画の醍醐味と言える。

「水の生き物・虫」前期展示より、左から《糸瓜に轡虫》《鯉》 ともに個人蔵

 同時に、江戸時代には見られなかった鳥や花が多く含まれることも注目だ。エメラルドブルーやピンクなどのパステルカラー、鮮やかな黄やオレンジなどの色彩とともに、そこには近代ならではの要素が見いだせる。構図や画の雰囲気も、古来の花鳥画から、近代絵画のエッセンスをはらんでいく様子が感じられるだろう。

「水の生き物・虫」前期展示より、左から《百合に蝶》《向日葵に蝶》
「動物」前期展示より、左から《月に虎》《松に鹿》 ともに個人蔵

編集部

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