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根津美術館で恒例「国宝・燕子花図屛風」公開。重文の屛風も同時展示【2/4ページ】

写生の祖が残したもの:藤花図屛風の章

 円山応挙は写生を旨とし、それまでの日本画にはなかった新しい画風を打ち立てて、円山派の祖、および四条派の源流として以後の日本画壇に大きな影響を与えた。その描写は単なる写実にとどまらず、対象の「真」をとらえ、細密と大胆さを併せ持つ高度な筆遣いに日本美を表している。

 《藤花図屛風》は、「付立て(つけたて)」の墨の濃淡だけで表された幹や枝がにびやかな立体感を表し、青、白、紫の絵具が重ねられた藤花には、花弁の柔らかさとともに匂いまで感じられそうだ。中央に大きく空間を取り、左右にアシンメトリーに配した構図も見る者を花樹の下に誘い込むように絶妙で、国宝の《雪松図屛風》にも引けを取らない彼の「写生画」の真骨頂といえる。

「藤花図屛風の章」展示風景より、円山応挙筆《藤花図屛風》(重要文化財、江戸時代・安永5年[1776]、根津美術館蔵)

 こうした師の技と眼を学んだ後継たちは、写実味に装飾性を加えつつのちの画壇を席巻していく。最初期の弟子・源琦(げんき)から、四条派の祖となる呉春(ごしゅん)、狩野派を学んだのち、応挙の影響を受けて動物画にすぐれた森祖仙(もり・そせん)、高弟のひとり山口素絢(やまぐち・そけん)に、四条派の草花図を確立したとされる松村景文(まつむら・けいぶん)の作品と並ぶことで、応挙の抜きん出た「写生力」とその革新性、そしてのちの展開が見えてくる。

「藤花図屛風の章」 展示風景より、右から 源琦筆《業平舞図》、呉春筆・日野資枝・烏丸光祖賛《南天双鳩図》、森狙仙筆《鹿図》(龍・鹿図のうち)(いずれも江戸時代・18世紀、根津美術館蔵)
「藤花図屛風の章」 展示風景より、右から 山口素絢筆《草花図襖》、松村景文《花鳥図襖》(ともに重要美術品、江戸時代・文化10年[1813]、根津美術館蔵)

編集部

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