55年ぶりの再現
また注目すべきは、2フロアを貫く巨大なインスタレーション《未完の足場》だろう。真っ赤な足場に絵画を組み合わせたこの作品は、1970年の大阪万博に由来するものだ。

当時、「せんい館」の建築デザインを担当した横尾は、建設現場の足場を気に入り、それを真っ赤に塗って残したというエピソードがある。本作は当時のイメージを55年ぶりに再現したもので、せんい館の看板の代わりに豊島横尾館のセンターピースである《原始宇宙》(2000)の原寸大レプリカが屋上に展示された。未完成の状態を重視する横尾の変わらぬ考えが垣間見えるインスタレーションだ。


なお、グッチは今年、創造性を通じたコミュニティとの共創をテーマに日本国内でアートプロジェクトを多面的に展開予定。本展以外にも、ファッションブランドとして初めて「瀬戸内国際芸術祭2025」の公式パートナーを務めることとなっている。