連続する3つの展示室でインスタレーション《あなたの塵に映る私の影》を展開しているのは、中国出身で香港とオランダを拠点とする鄭天依(ジェン・テンイ)だ。鄭は広島に1ヶ月以上の滞在をし、中古品の持つ多層性を浮かび上がらせる作品をつくりあげた。
1つめの展示室では映像作品が上映されている。広島で出会ったという中国人が経営するリサイクルショップの、ほこりだらけの倉庫を尋ねる映像には、どこかホラーやミステリーの要素を感じさせる緊張感が漂う。

2つめの展示室では、暗闇のなかで光ったり、音を立てたりするように制御された中古品群で構成されたインスタレーションを展開。ものに宿った魂のようなものが、うっすらと漂う空間となっている。

そして3つめの展示室では、リサイクルショップの日常風景を再現。様々な来歴を持つ品々を眺めていると、人感センサーにより淡い光が放たれ、製品にやどった歴史と、その向こうにあったであろう人々の姿を鑑賞者に意識させる。
