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「最後の浮世絵師」鰭崎英朋とは何者だったのか? 新発見の肉筆画も公開【3/3ページ】

 第3章は肉筆画だ。明治時代後期から大正時代にかけて、多くの絵師が展覧会に出品し、評価を獲得するために重視していた肉筆画。英朋も20代後半頃までは肉筆画を手がけていたものの、口絵や挿絵で人気を博したことで大衆向けのメディアがメインとなっていった。そのため現存数は少ないが、ここでは掛け軸に描かれた日本画や挿絵や表紙の原画を見ることができる。

 なかでも白眉となるのは、初公開となる肉筆画《上杉謙信》(1900)だ。これまで現存する英朋最古の肉筆画は22歳のときのものとされていたが、同作はそれを2年上回る20歳で描いた肉筆画。第9回日本絵画協会第4回日本美術院連合絵画共進会に出品され、褒状2等を受賞した作品。1577年の七尾城攻めの際に、月を眺めながら漢詩を詠んだ上杉謙信の姿が堂々と描かれており、若かりし頃の英朋の才能の片鱗がうかがえるだろう。なお同作は前期のみの展示となるので注意してほしい。

展示風景より、左が《上杉謙信》(1900)

 明治30年代以降、時代の移り変わりとともに浮世絵版画が衰退し、彫師や摺師が活躍の場として見出した木版口絵の世界。大正5年頃を境にこの木版口絵も減少していくが、その最後を支えていたのが鰭崎英朋だった。その意味において「最後の浮世絵師」だった英朋。新版画などが注目を浴びるいまだからこそ、その仕事を振り返っておきたい。

編集部

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