ガンダーにとって新たな局面と言えるのが、《閉ざされた世界》(2024)だ。「普段は個人的な背景から作品をつくることはない」と語るガンダー。しかし本作は、自閉スペクトラム症の息子に関連するものだ。
床に整然と並べられたのは、ガンダーが考案したものを含む色とりどりのおもちゃやゲームの部品。この壮観な列は、普段からおもちゃを1列に並べる息子の習慣と、それに対する父親としての感情が反映されている。
なお本作はロビーフロアの片隅に置かれた植木鉢に潜む《君が僕を完成させる、あるいは僕には君に見えないものがある(カエルの物語)》(2025)ともリンクする。アニマトロニックのカエルが語る言葉に耳を傾けてみてほしい。


