「Better Co-Being」(宮田裕章)

「いのちを響き合わせる」をテーマにした宮田裕章プロデュースのシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」は、「静けさの森」の一角に位置する。人類がデータを分かち合い、共創する未来社会の象徴が「森」であると構想した宮田。SANAAが設計したパビリオンは、壁も天井もないデザインが大きな特徴だ。
パビリオン内は3つのシークエンスで構成。来場者は3Dハプティクスという技術を応用した「echorb(エコーブ)」というデバイスを手に持つことで、来場者同士あるいは展示された作品と共鳴することができる。パビリオンの参加作家は塩田千春、宮島達男、そして宮田裕章 with EiM。それぞれがシークエンスを担い、3つの観賞体験を提示する。
小高い丘の上にあるのが最初のシークエンス「人と人の共鳴」:塩田千春『言葉の丘』だ。天井からは赤い糸が吊り下がり、その中に万博の7つのテーマとリンクしたメッセージが配置。「echorb(エコーブ)」を持って作品の周りに立つと、位置に連動して7つの言語による7つのメッセージが表示される。

続くシークエンス2「人と世界の共鳴」:宮島達男『Counter Voice Network-Expo 2025』は、スロープに設置された30個のスピーカーを用いたインスタレーション。宮島の代名詞であるデジタルカウンター(数字)が45ヶ国の声で表現されており、「0」は発せられない。「echorb(エコーブ)」を手に音源に近づくと、カウントダウンを続ける人々の名前と言語が表示され、関連するストーリーがウェブアプリ上に立ち上がる。

シークエンス3「人と未来の共鳴」:宮田裕章『共鳴の空』、宮田裕章 with EiM『最大多様の最大幸福』では、キャノピーの下に400本ものワイヤーが張られ、そこにサンキャッチャーが取り付けられ光を反射。また、人口の雨を降らせることで、不確定性をはらんだ虹を発生させる。

なおエピローグでは、宮田と真鍋大度が手がけた球体LEDが設置されており、来場者が「echorb(エコーブ)」を持ち寄ることで、そこに収集された様々なデータが掛け合わせられ、その日その時だけしか見ることができない映像が現れる。