• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「生誕150年記念 上村松園」(大阪中之島美術館)開幕レポート…

「生誕150年記念 上村松園」(大阪中之島美術館)開幕レポート。女性画家として女性を見つめたその画業【5/5ページ】

 第4章「暮らしを描く」は、松園が失われゆく風習を懐かしみつつ、人々の生活のなかにある日常を描いた作品を展示。

 《舞支度》(1914)は出番を待つ舞手の娘と、囃し手の女性3人を描いた作品だ。舞手の娘の緊張した面持ちが、くつろいだ様子の囃し手3人と対比されており、当時の風俗における小さな感情がありありと描かれている。

展示風景より、《舞支度》(1914)京都国立近代美術館

 《鼓の音》(1940)は真剣な眼差しでこれから鼓を打とうとする女性を描いた、松園の半身像の代表的作品。本作はニューヨーク万国博覧会にも出展しており、戦前の京都の風俗を伝えることとなった。張り詰めた空気もそのままに、現代に伝えている。

展示風景より、左が《鼓の音》(1940)松伯美術館

 最後に、美人画に対する松園の心構えを伝える、次の文章を紹介したい。

私の美人画は、単にきれいな女の人を写実的に描くのではなく、写実は写実で重んじながらも、女性の美に対する理想やあこがれを描き出したい–という気持ちから、それを描いて来たのである。
──会場展示パネル、上村松園「棲霞軒雑記」「青眉抄」より

 松園は女性日本画家の先駆けとして、その後、池田蕉園や島成園らが続く道を示した。松園が見つめ続けた女性たちの生き様が、かすかに、しかし確実に伝わってくる展覧会だ。

編集部

Exhibition Ranking

見附正康

2025.05.23 - 07.05
ARTRO
京都

木梨銀士「Flux」

2023.02.02 - 02.17
GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE
丸の内 - 銀座|東京

非常の常

2025.06.27 - 10.04
国立国際美術館
大阪

Dressing Up: Pushpamala N

2025.06.26 - 08.16
シャネル・ネクサス・ホール
丸の内 - 銀座|東京