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岡山の新現代美術館「ラビットホール」が開館。目指すは20年かけて「壊す」建築【6/6ページ】

ラビットホール別館 福岡醤油蔵

 ここまで見てきたラビットホールの開館に伴い、同財団が所有する歴史的建造物「福岡醤油建物」も芸術・教育・⾷⽂化の複合施設「ラビットホール別館 福岡醤油蔵」として改修。新たなかたちで活動を開始した。

 この建物は、現代美術作家の個展をするラビットホール別館としての「福岡醤油ギャラリー」(芸術エリア)、⽇本茶を再定義した茶房と売店を併設した店舗「SABOE OKAYAMA」(⾷⽂化エリア)、学校⽣活に不安を持つ児童・⽣徒・保護者の⽀援を⽬的とした塾「なる塾」(教育エリア)の3つが展開される。

⾷⽂化エリアのエントランス
2階にある「なる塾」

 このうち福岡醤油ギャラリーでは、イシカワコレクションの中核をなすコンセプチュアル・アーティスト ライアン・ガンダーによる「Together, but not the same」展(終了日未定)が開催。

福岡醤油ギャラリー

 1階に展示される《Moonlighting》(2018)はガンダーがピカソの作品を模倣した平面作品群。このタイトルは「夜なべの作業」を意味しており、ピカソの仮面をかぶって制作を行ったガンダーの姿そのものを指している。

展示風景より、ライアン・ガンダー《Moonlighting》(2018)

 地下には広々とした展示空間が広がっており、様々なバリエーションのガンダー作品を見ることができる。

 これまでも国内で展示されてきた《Magnus Opus》(2013)は、ランダムに振り付けられた表情が無限ループで作成される人気作品。

展示風景より、左から、ライアン・ガンダー《Magnus Opus》(2013)、《Make everything like itʼs your last - Maya》(2014)、《Imagineering》(2013)
展示風景より、ライアン・ガンダー《Magnus Opus》(2013)

 壁の穴から小さなネズミが語りかける《2000 year collaboration (The Prophet)》(2018)もまた人気の作品だろう。ネズミの声はガンダーの娘が演じており、その内容は映画『独裁者』の終盤でチャップリンが演説した内容を書き換えたものだ。

《2000 year collaboration (The Prophet)》(2018)

 新作も展示されている。《The Rabbit Hole》(2025)はラビットホールのロゴマークを作品化したもの。不思議の国のアリスのように穴に飛び込むウサギは、アートを通じた非日常的な体験への入口だ。

展示風景より、奥に見えるのが《The Rabbit Hole》(2025)
展示風景より、ライアン・ガンダー《The Rabbit Hole》(2025)

 今後の20年を見据えて、スタートを切った石川文化振興財団とラビットホール。コンセプチュアル・アートの良作群をユニークな空間で見られる施設としての価値は高く、日本国内の新たなアート・デスティネーションとなることだろう。

編集部

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