SIDE COREは、現実と想像の地層が交錯する映像インスタレーションを展開している。《under city(地下都市)》は、東京の地下空間をスケートボードで滑走しながら撮影した映像作品。スケーターたちは地下鉄のトンネルや放水路など、日常的には立ち入ることのない場所を横断し、架空の地下都市をつくり出していく。いっぽうの《looking for flying dragon(竜飛を探して)》は、2020〜2021年に青森での滞在制作を経て完成した映像作品であり、青函トンネルや津軽海峡、竜飛崎にまつわるリサーチをもとに、いまは失われた地形や風景の記憶を現在の風景に重ね合わせて再構成している。


青森で生まれた工藤麻紀子は、自身の原風景でもある津軽地方の記憶をもとに、山と少女、街の風景を重ねた詩的な作品を発表。絵画という形式のなかに、個人の記憶と土地の記憶を静かに織り込んでいる。
ユーイチロー・E・タムラの《草上の休息》では、19世紀の画家エドゥアール・マネの《草上の昼食》を参照しつつ、ペイズリー柄の大きなカーペット上に横たわるカウボーイ姿のパフォーマーが登場する。鑑賞者もまた、ペイズリー柄のアイテムを身に付けることで作品に参加することができる。見る者と見られる者の関係が入れ替わり、「休息すること」自体が作品化されている。

また、さとうりさによるバルーン作品は、古代のドルメン(巨石墓)に着想を得たソフトスカルプチャーで、美術館内外に分散的に展示されている。7月には緑地でのイベント開催も予定されており、さらなる展開が期待される。
