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「ニュー・ユートピア」展(弘前れんが倉庫美術館)開幕レポート。「ここではないどこか」を想像する【4/5ページ】

 弘前出身の奈良美智は、本展でその原風景と創作の関係をたどるような展示を行っている。展示室内には、奈良が高校生だった1977年に立ち上げに関わったロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」が再現されており、そこでは奈良のルーツと音楽、そして弘前との関係が交差する。

展示風景より、ロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」の再現
展示風景より、ロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」の内部

 《Girl from the North Country(study)[北国の女の子(習作)]》は、アクリル絵具で描かれた作品ながら、油絵のような重厚な画面を持ち、落ち着いた色彩が特徴的だ。また、会場ではスタジオで音楽とともに即興的に描かれた「A Night Owl Like a Fish」シリーズも展示されており、音楽とドローイングの呼応が、奈良の創作の新たな一面を見せている。

展示風景より、右は奈良美智《Girl from the North Country(study)[北国の女の子(習作)]》。左の連作は「A Night Owl Like a Fish」シリーズ

 展覧会の終盤では、小林エリカによる物語の作品が完結を迎える空間に加え、畠山直哉が撮影したかつてのれんが倉庫の写真や、藤井光の映像作品が再び登場し、記憶の循環を示している。

展示風景より、展覧会の終盤で展示された小林エリカの作品
展示風景より、畠山直哉による写真シリーズ

 最後に登場するのが、佐藤朋子による音声インスタレーション。昨年のリサーチプロジェクト「白神覗見考」への参加をきっかけに弘前を訪れた佐藤は、台湾や韓国での滞在制作を経て、本作を完成させた。ベンチに座り、窓の外を眺めながら耳を傾けるその体験は、土地の伝説や記憶と新たな物語が交錯する静かな旅となる。また、出口近くには、昨年同館で個展を開催した蜷川実花による、弘前の桜を撮影した写真作品も展示されており、本展における「場所と記憶」の主題を華やかに締めくくる。

展示風景より、弘前れんが美術館の5年間の活動を振り返るアーカイヴコーナーとさとうりさのバルーン作品(部分)

編集部

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