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「総合開館30周年記念 TOPコレクション 不易流行」(東京都写真美術館)開幕レポート。コレクションから改めて学ぶ写真表現史【3/5ページ】

 第2室「寄り添う」(企画=大﨑千野)は、石内都、塩崎由美子、大塚千野、片山真理の4作家の作品を紹介している。

 各作家はそれぞれ異なるものに寄り添いながら作品を制作した。石内の「mother’s」は、84年の生涯を生きた自身の母親の遺品一つひとつに寄り添いながら、写真に収めた作家の代表的なシリーズだ。実物の数倍もの大きさに引き伸ばされ、質感豊かに鑑賞者の前に立ち上がるそれらは、まるでポートレートのように故人の姿を現出させている。

展示風景より、石内都「mother’s」シリーズ

 塩崎の「Una」シリーズは、病で身体が不自由になりながらも40年以上にわたり住み続けている家で生活を続ける女性、ウナ・ゴールドに寄り添った作品群だ。困難を抱えながらも、彼女が守ろうとした日常の風景をとらえた本シリーズには、しなやかな強さが宿っている。

展示風景より、左から塩崎由美子《Una 2008》(2008)、《Una 2003》(2003)

 大塚は自分が幼い頃の写真にデジタル処理を施し、当時の自分と現在の自分がともに写っている写真シリーズを制作。どこか他人のようにも感じられる過去の自分に写真のなかで出会うことで、改めて自分という存在に寄り添おうとしている。

展示風景より、右が大塚千野《1976 and 2005,Kamakura,Japan》(2005)

 片山は病により両足を切断した自分の姿を撮影している。これはセルフ・ポートレートではなく、自身の周囲にある装飾的な品々を見せるための人形として、自分が写真に登場しているのだという。自己を客体化することによって得られる自由もある。これもひとつの自分への寄り添い方なのだろう。

展示風景より、片山真理《小さなハイヒールを履く私》(2011)、《子供の足の私》(2011)

編集部

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