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「エルヴィン・ヴルム 人のかたち」(十和田市現代美術館)開幕レポート。なにが「人」をかたちづくるのか【3/5ページ】

 ヴルムの代表作のひとつに、作家自身、あるいは参加した人々に不自然なポーズを取らせることで彫刻化するパフォーマンス「一分間の彫刻」がある。本展で展示されている「修道士と修道女」シリーズや《馬鹿 その2》(2003)、《慈悲を乞う作家》(2002)といった作品も、同シリーズの系譜にあるものといえるだろう。

展示風景より、「修道士と修道女」シリーズ(2002)

 あらゆる人々は静止することで彫刻になる。「修道士と修道女」シリーズでは長い歴史の伝統を引き継ぐ神聖な役職の人々が、《馬鹿 その2》《慈悲を乞う作家》では展覧会の主体である作家自身が奇妙な彫刻となっており、それぞれの持っている権威性が揺さぶられる。

展示風景より、左から《馬鹿 その2》(2003)、《慈悲を乞う作家》(2002)

 また、ヴルムの作品には、身の回りのものをメディウムとするという共通項が見いだせる。なかでもヴルムが繰り返し作品に使用してきたのが洋服だ。《吊されたセーター》(1990/2025)は市販のセーターの形状を歪ませて彫刻的に展示したもので、本来であれば身体に密着するニットのセーターを歪ませ、標準的とされる身体に疑義を投げかける。

展示風景より、《吊されたセーター》(1990/2025)

 《精神》(2025)は展示室全体にセーターを着せたような作品だ。室内全体をセーターで包むことにより、身にまとうものとしてのセーターの意味がゆらぐ。加えて室内では、衣服を様々な方法で着用する人々を映像に記録したヴルムの初期作品《59のポーズ》(1992)が上映されており、衣服を通して人々に身体の在処を問いかける。

展示風景より、《精神》(2025)

編集部

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