「完全でないから生き続ける」作品
川俣は、西川が話す昼と夜とで変化する作品の表情についてこう話す。
「パーマネントインスタレーションとしてこのライトポストの作品を設置したのですが、道路にせり出すように設置されているので、光が車の運転の邪魔にならないように、自らポストを照らす角度を向いているんですね。そうすると夜にはポストがうっすらと浮かび上がって見えて、昼には想定していなかったイメージが生まれます。ここの場所にどんなものが生きてくるのかを考えましたが、面白い存在感のものができたのではないかと思います」。

そして街灯としての機能をもっている以上、メンテナンスも欠かせない。
「鉄や石でつくり、台座に設置した彫刻作品と違って、《千鳥橋ライトポスト》は完全ではない作品ということができるかもしれません。逆に、完全ではないものとして提示しておくことによって、設置したあとも生き続けるような、いろんな人が手をかけて関わり続けるような作品をつくりたいと思うんです」。
本格実施第一弾となった川俣正の《千鳥橋ライトポスト》は、おそらくそれほど時間が経つことなく、この場所を象徴する存在となるだろう。そして今後も、正蓮寺川公園にはパブリック・アート作品が増えていく。象徴的な作品が増加することで、アートの街としてのイメージが醸成されていくに違いない。その道のりをゆっくりと追いかけていきたい。
