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「石田尚志 絵と窓の間」(アーツ前橋)開幕レポート。絵画における時間とは、光とは、音とは何か【2/5ページ】

 まずは、出展されているドローイング・アニメーションを取り入れた作品を見ていきたい。ドローイング・アニメーションとは、絵具等で「ムニュムニュ」と石田が呼ぶ線や長方形を描き、それを1コマずつ撮影することを繰り返す、ストップモーションアニメに類する手法だ。石田はこの手法を使って、様々な映像やインスタレーションを生み出してきた。

展示風景より、《渦》(1991)

 まず、本展の目玉のひとつである新作《夏の海の部屋》(2025)を紹介したい。4Kプロジェクターのスクリーンで上映される本作は、昨年、本展が神奈川県立近代美術館 葉山で開催されていた際の滞在制作によって生まれた作品だ。石田は同館の海が見える展示室で、ドローイング・パフォーマンスを行った。昼は陽光が差し込み、夜は闇に包まれるという時間の流れのなかで、絵画が完成に近づいていく様子が映像化されている。本作を見れば、石田の興味が絵画の持つ時間性をどのように定着させるのか、という点にあることがよくわかるだろう。

展示風景より、《夏の海の部屋》(2025)と石田尚志

 石田はこのようなドローイング・アニメーションを、近年はインスタレーションとして展開している。その契機となった作品が、青森公立大学国際芸術センター青森[ACAC]での個展で発表された《弧上の光》(2019)だ。石田は雪深い真冬のACACに滞在し、絵画が生成されていく会場の風景をコマ撮りで記録し映像化。加えて、この制作過程を正面からとらえた映像も記録し、それを完成した絵画と同じサイズの白いキャンバスに等倍で投影した。本作は、制作過程の会場風景映像、キャンバス上での生成過程の再現映像、そして実際に描かれた絵画という3つの位相が同居する。絵画が描かれるときの時間を異なる視点からとらえ、それを同居させることで、絵画の持つ時間性を構造的に見せる試みといえる。

展示風景より、《弧上の光》(2019)

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