そして、本展のタイトルにもなっている《絵と窓の間》(2018)は、より複雑なレイヤーの体現を試みた作品だ。アトリエにパネルを配置し、その周囲の壁や床を「ムニュムニュ」で埋めていく。その様子をコマ撮りすることでつくられた主映像は、さらに16ミリフィルムによるループ映写や、投影映像を裏側から撮影して逆回転させるといった派生を生む。それらをひとつの空間に同居させることで重厚なレイヤーを体現している。

《透過光絵巻》(2016)は「あいちトリエンナーレ2016」で初めて発表された作品で、約18.5メートルもの長さを持つ巻物状の透明フィルムにドローイングを描いたアニメーション作品だ。本展では、地階へと降りていく階段の天井に、フィルムを透過する光による映像が投影され、さらに使用されたフィルムも照明によって透過させながら併置させられている。石田が制作において時間と同様に光も重視していることがよくわかる。

石田の光への興味は、立体と組み合わせることで様々な展開を見せる。《青い小さな家》(2022)は、繊維板を植物を思わせる有機的な形状にし、コマ撮りをするように照明を明滅させて影とともに形状を展開させている。《庭の外》(2022)なども、コンセプトを同じくするインスタレーションといえるだろう。

