本展では映像やインスタレーションを中心とした石田のこれまでの活動を振り返るが、同時に石田が近年力を入れる絵画についても焦点を当てている。さらに、石田の幼児期の絵画や、10代前半のブリューゲル《バベルの塔》に着想を得た作品など、初期の絵画も展示。


そして近年、石田がふたたび取り組み始めた絵画では、「ムニュムニュ」とともに長方形も巧みに組み合わされ、まるで遠近法のように奥まで続いていく立体性が見て取れる。絵画に時間を与えて動かすことを試み続けてきた石田が、再び絵画に戻るときに立ち現れた景色を、会場で吟味したい。

石田のこれまでの活動を振り返るとともに、そこに通底するところに絵画を見出すことができる本展。ひとりの作家が同一の課題にどれだけ多角的な視点を与えようとしてきたのか、肌で感じられる。