いっぽう「世界に見せたかった日本美術」では、1900年のパリ万博の展示品として、日本人が初めて編んだ西洋式の日本美術史書『Histoire de l' Art du Japon』に注目したい。
同書は、体系的な美術史が国威発揚になると考えた明治政府が1000冊製作したもので、各国首脳や海外美術館などに配ったという。時代や分野の区分は企画当初の編集長だった岡倉天心の構想に基づいている。現在では国宝や重要文化財となった名品が収録されており、日本美術史の基礎となった1冊だ。

同じ部屋には、同書で紹介された、現存する日本最大の銅鐸で重文の《突線鈕五式銅鐸》(弥生時代)や法隆寺献納宝物である《菩薩半跏像》(飛鳥時代)も展示。また、同書で日本の木像や塑像、銅像の起源として「彫刻」に分類されている埴輪も並ぶ。

