東アジアの日本の美術
続く「第1部 東アジアの日本の美術」「第2部 世界と出会う、日本の美術」は、日本らしさを強調した官製美術史とは異なり、海外との交流を物語る日本美術を紹介するもの。海を超えて往来した人々、技術、観念の軌跡をたどる。
例えば、重要文化財《三彩釉骨蔵器》(奈良時代)は、緑、白、黄色の3色を基本とする「唐三彩」の技術によって日本で生産された「奈良三彩」の代表作例。斑点文様は唐三彩の施釉技法だが、形自体は日本の須恵器にある薬壺形をしている。唐の文化を柔軟に吸収し、改変した様子がわかるものだ。

国宝《宝相華迦陵頻伽蒔絵?冊子箱》(919)は、空海が唐から持ち帰ったお経を収める箱。文様自体は唐の影響が濃厚な正倉院宝物のような配置だが、そこに描かれた霊鳥「迦陵頻伽(かりょうびんが)」の顔立ちは和風だ。
