現代の絵師たち
本展でもっとも大きなスペースが割かれているのが、第4章「現代の絵師たち」だ。ここでは、2010年代以降、主に「現代の浮世絵・国際創造プロジェクト」に招聘された世界中のアーティストたちの「現代の浮世絵」を紹介。この企画はアダチ伝統木版画技術保存財団の事業の一環として、彫師・摺師がアーティストとともに新作の木版画を制作することで、今に生きる技術を次代へ継承していくものだ。

ここに並ぶのは、ロッカクアヤコ、田名網敬一、N・S・ハルシャ、加藤泉、山口晃、草間彌生、李禹煥、横尾忠則、アントニー・ゴームリー、イケムラレイコ、塩田千春、名和晃平など、国内外の著名作家たち。
加藤泉は、2020年制作の2点でパステル画のタッチを木版で表現することを試みた。また23年の作品では、ヴィンテージプラモデルのパッケージの鳥のモチーフをコラージュしたドローイングが原画となっている。

森美術館で個展を開催したこともあるN・S・ハルシャは、神の使いである猿を描いた三枚続の作品を制作。同じ版木だが、色調を変えることで時間の移ろいが見事に表現されている。これは新版画に見られる手法の応用だ。
