4階では鑑賞者が参加できるインスタレーション《オブリタレーション・ルーム》(2002-現在)がひと部屋を使って展開されている。すべてが白く塗られた室内には、テレビ、ソファ、テーブル、時計、棚といった、日常的な家具や雑貨が配置されている。部屋の入口ではカラフルな円形のシールが配られ、来場者はこのシールを室内のどこでも好きなところに貼りつけることが可能だ。

草間が提唱する、水玉の群れのなかに埋没していく自己消滅が、ここでは来場者とのセッションとして展開する。少しずつ白く無機質な部屋を覆い尽くしていくカラフルな水玉は、この場を訪れた人々の記録でもあり、不在と消滅の証でもあるといえる。水玉を貼りつけて部屋を出た鑑賞者は、自己が部屋から消滅したことを悟るとともに、自分がいなくなった部屋の未来の姿に思いをはせることになる。
