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「周辺・開発・状況 — 現代美術の事情と地勢 —」(下瀬美術館)開幕レポート。東アジアの記憶をつなぎ合わせる「現在」【3/10ページ】

 鈴木操は、服飾を学び、コンテンポラリーダンスや現代演劇の舞台衣装デザインに携わってきた。その後、衣服をつくるうえで焦点となっていった人体への思索を深めるべく、彫刻の制作を行うようになる。本展で鈴木は「Untitled (Non-homogeneous arrangement)」と「Untitled (Deorganic Indication)」の二つの彫刻シリーズと、企画展示室に新作の具象彫刻《霊性》を展示している。

展示風景より、鈴木操《霊性》(2025)

 「Untitled (Non-homogeneous arrangement)」は圧縮袋に包まれたカラフルな廃棄物が、その輸送の際に使用された段ボールとともに「彫刻化」され展示されたものだ。本作で問題とされているのは輸送という行為そのものであり、また輸送にともなってそこに発生している人体の動きといえるだろう。

展示風景より、鈴木操「Untitled (Non-homogeneous arrangement)」シリーズ(2017-18)、奥は久木田大地《FLUID BABY_03》(2024)

 「Untitled (Deorganic Indication)」は、鉄筋などによって風船を変形させた彫刻だ。枷と内圧のせめぎあいのなかで、風船はつねに破裂の予感を漂わせ、不安定な状態を保ち続けている。外的な衝撃によって破裂し、ゴム片となって床に散らばったものもあり、その様子はどこか有機的かつセクシュアルな印象も与える。

展示風景より、鈴木操「Untitled (Deorganic Indication)」シリーズ(2023)、奥は久木田大地《BABY BUOY》(2022)

 鈴木による両シリーズは、圧縮袋と風船という、いずれも空気を出し入れする素材によって制作されている。呼吸をする人体との関連も想起させるこの素材が、様々なかたちで抑圧される両シリーズ。服飾の経験から見えてきたであろう鈴木ならではの身体に対する問題意識が感じられる。

編集部

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