「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」(東京都現代美術館)開幕レポート。「転回」の先に見えたその造形の到達点【5/7ページ】

 ボリュームのある彫刻は、1990年頃から始められたというが、会場にはこの「転回」前の彫刻も展示されている。1994年に制作された白いセラミック彫刻(2025年に再型抜き)は、《イーデーの山》(同じく再制作された原型モデルが展示されている)と同時期のもので最も古い作となるが、双方ともに、表面曲面は関数的にスムースに均らされ、そののちに制作されたセラミック彫刻にある襞、テクスチャー、ディテールは現れていない。

展示風景より、原型1994年(2025年再型抜き)の塑像
展示風景より

 岡﨑は脳梗塞のリハビリを通じて、自身の身体の操作をより意識するようになったという。快復後に再び彫塑に取り組み始めた岡﨑は、以前より精細で「拡大しても細部がどこまでも出てくる」(プレスカンファレンスでのトークより)ような表現を実現できるようになったそうだ。子供の頃、もっとも得意だったのが粘土だったという岡﨑は、いつかするべき仕事として意識していたこの彫刻に力を注ぐ。たしかに90年代の彫刻と最新の彫刻を見比べると、よりディティールが洗練され、また細部の情報量が上がっているように思える。本展の白眉ともいえる「転回」後の岡﨑の巨大な塑像群を、「転回」前後の比較とともに見られるのは興味が掻き立てられる。

編集部

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