「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」(東京都現代美術館)開幕レポート。「転回」の先に見えたその造形の到達点【7/7ページ】

 そして、何よりも注目したいのは巨大な塑像の作品群だ。まるで巨大な人間がひねったかのようなダイナミックな造形と、セラミックの白だからこそ際立つ陰影、そして表面の様々な部分に現出している複雑なテクスチャは、見るものを飽きさせず無限の発見の可能性を提示してくれている。

展示風景より
展示風景より、《Examine The Tone And Reasoning Too; Consider The face, How It Changes Hue/聆⾳察理,鑒貌辨色》(2024)

 ほかにも本展では、テキスタイルやタイルを素材とした作品のほか、岡﨑が参加した90年代初頭に広島で誕生した環境文化圏運動「灰塚アースワーク」や、岡﨑がディレクターを務めた近畿大学国際人文科学研究所に所属するサテライト校「四谷アート・ステュディウム」、霧の彫刻で知られる中谷芙二子とともに構想した「雪と霧の公園」計画など、その多岐にわたる活動が紹介されている。

展示風景より、《Yellow Slope》(1989)
展示風景より、《塩とみずと野菜》(2013)

 テキストや写真では伝えきれない、迫力と精細さが同居する展覧会。岡﨑がいかに造形と向き合い思索を重ねてきたか、そして近年の「転回」を経てどれほどの境地に至ったのか。会場でぜひ立ち向かってみてほしい展覧会だ。

展示風景より
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編集部

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